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肉の手づかみから、洗練された世界のフランス料理へ。



世界中に知れわたり、多くの国で正餐として採用されるフランス料理。実は、今のフランス料理の形となったのは、そう大昔のことではない。


フランス料理の原型は14世紀、シャルル5世の時代に始まり、王の料理係だったタイユバンによって本格的な料理体系がつくられ、調理の分業も確立されたといわれている。まだ食卓の礼儀作法などはないに等しく、肉類をナイフで切っては手づかみで食べていたという。フォークが一般化したのはずっと先、1670年以降となる。

このフランス料理が躍進するのは1553年。フランスのアンリ2世に嫁いだ、イタリアのカトリーヌ・ド・メディシスと専属の料理人たちによって、カトラリー、陶器、ガラス器から、食事作法、多彩な調理法などがもたらされた。現在のフランス料理の原型となる。

稀代の大食漢、美食家といわれるルイ14世の治世になると、ヴェルサイユ宮殿を舞台に、絢爛豪華な宮廷文化が花開く。社会が貧しかった時代は、食事の量は富の象徴であった。山盛りの料理が並ぶ宮廷の晩餐は一般にも公開され、各国の王侯貴族は一度でいいから招待されたいと願ったものである。

当時、料理の出し方はフランス式で、通常1回から3回に分けてサービスされていた。まずスープなら、スープの全種類が並べられ、食べ終わると今度はオードブルが、最後にメインの料理がまとめて食卓に並べられる。自分の目の前のものしか食べられず、料理が冷めてしまうなど不都合もあったようだ。今私たちがレストランで食べている、一皿ずつサービスされるロシア式が普及していくのは1880年ごろとなる。

その後、18世紀のフランス革命がきっかけとなり、王侯貴族などの特権階級だけのものだった「美食」が大衆化していく。宮廷のお抱え料理人たちは職を失い、パリの街へ出て自分の店を開く者もいた。これがレストランの始まりとなる。

19世紀から20世紀にかけて活躍した、2人の偉大な料理人に注目しよう。料理界のナポレオンといわれ、豪華で派手な装飾がほどこされた宴会料理に才能を発揮した、アントナン・カレーム。カレームが築き上げた料理を単純化し、素材を生かした調理法を体系化する事によって、フランス料理の普及と近代化を行ったオーギュスト・エスコフィエ。エスコフィエは、フランス料理のバイブルといわれる『料理の手引き』を1903年に刊行。今でも料理人の王様と呼ばれ、多くの料理人に敬愛されている。

また19世紀には多くの美食家も登場する。ブリア・サヴァランは『美味礼讃』を著して美食学(ガストロノミー)と美食文学の伝統を確立したことはよく知られている。美食家がいれば、それに応えようとする優秀な料理人も輩出される。彼らは世界へフランス料理を広める一方、外国の料理も積極的に取り入れ、さらに進化していくこととなる。

ポール・ボキューズ、フレディ・ジラルデ、トロワグロ兄弟、そしてジョエル・ロブション、アラン・デュカス……素晴らしい料理人達が時代を作り上げてきた。

2010年には、フランスの食文化がユネスコ世界遺産に登録され、フランス食文化の保存と世界への発信を目的とした、フランスを代表する料理人らの組織コレージュ・キュリネール・ド・フランスが結成された。この代表を務めるのが、先述のアラン・デュカスならびにジョエル・ロブションである。「Tous au Restaurant」(皆でレストランへ行こう)を発案し、2011年には、その日本版として「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」を開催。今年は第4回を迎える。

7月2日に開催されたプレス会ではアラン・デュカスを始め、パリ、日本の有名シェフが一堂に会し、フランス料理への熱い思いを語ってくれた。長い歴史とともに洗練されていったフランス料理。今、日本の食材が日本人のシェフによってどのように料理されるのか。「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク」は、それを堪能できるまたとない機会となる。

参考:『フランス料理は進化する』文春新書 宇田川悟
   『フランス美食の世界』世界文化社 鈴木謙一
   『フランス料理の学び方──特質と歴史』中央文庫 辻静雄


プレス会の様子はこちらから

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